とりで法律事務所(東京港区北青山 外苑前駅)・ブログ

解決事例・情報提供システム利用契約の不更新・解約の交渉

2025年02月10日 16:23

1 ご相談の経緯

税理士のAさんは、B社の担当者から営業を受けて、B社と税理士業務等に関する情報提供システム利用の契約を締結しました。


しかし、契約締結後、Aさんがこの情報提供システムを実際に使うことはほとんどなく、利用料がかかるため契約更新はしないでおこうと思うようになりました。


そのような中、当該情報提供システムの利用規約には、契約期間終了日の3か月前までに更新の申し出をしなければ、1年間自動更新されることが定められており(また、中途解約の場合は契約期間満了までの利用料全額を支払うことが定められている。)、これに気付いたのが、契約終了日の3ヶ月前を数日過ぎたタイミングでした。

困ったAさんは、どうにかこの契約を直近の契約期間終了日で終了できないか、とのことで、当事務所に相談に来られました。

2 当事務所の対応

Aさんから利用規約など契約書類一式の提供を受けて確認してみたところ、当該利用規約の契約期間や中途解約の定め方(文言)に不備があり、また、サービス利用者にとって、一方的に不利な内容が含まれていると考えられました。


そのため、Aさんには、先方に対し、かかる不備や定型約款に関する民法548条の2第2項の主張などを指摘しつつ、落としどころとしては、一定期間(~数か月分)の利用料相当額を支払って解約する方向で粘り強く交渉してみるよう、アドバイスをしました。

その後、当職からアドバイスを受けたAさんは、上記内容をもとにB社の担当者と交渉しました。結果としては、Aさんが契約更新後1カ月分の利用料相当額を支払うことを条件に当該情報提供システム利用契約を中途解約するということで、両者合意することになりました。

3 解決

契約更新or中途解約により更新後1年分の利用料相当額の支払い → 1ヶ月分の利用料相当額で中途解約


事業を運営していく際に、運営・管理のための各種システム・サービス(特に、士業においては、情報提供に関するサービス)を導入することになりますが、契約期間や中途解約に関する規定など、契約内容をあらかじめよく確認しておくことが何より重要です。それでも問題が発生した場合、またはその懸念がある場合についても、まずは、利用規約など契約書類をよく確認することが問題解決の糸口になることが少なくありません。


一方、サービス提供者にとっては、自社サービスの利用規約に不備・問題がある場合、そのことを利用者から指摘されて、本来できるはずの請求が難しくなるケースもあるため、利用規約や契約書等を適切に定めておくことが重要であることは申し上げるまでもありません。

自社に不利にならないよう懸念事項を契約条項等でカバーしつつ、他方で、過度に自社に有利にすることで生じる問題(無効を主張されるリスク等)にも気を配ることが重要です。



当事務所では、上記のような契約の終了(解約など)トラブルや自社サービスの利用規約・契約書の作成について対応しておりますので、相談等ご希望の方は、お問合せフォームよりご連絡をお願いいたします。