とりで法律事務所(東京港区北青山)・ブログ

解決事例・無在庫転売による損害賠償請求(被請求側の弁護)

2024年07月26日 00:23

1 ご依頼の経緯

会社員のAさんは、副業として、某ECサイトにおいて、手元に在庫がない状態で商品を出品し購入された後にその商品を仕入れるという、いわゆる「無在庫転売」を行っていました。出品の際、商品を各方向から撮影した宣材写真を使用して出品していました。


ある日、Aさんは、当該ECサイトを見たB社から、AさんがB社の商品や宣材写真を無断で出品・使用しており、それを即刻止めるよう警告するとともに、Aさんの無在庫転売によりB社に損害が生じたとして損害賠償を求める内容の内容証明郵便(通知書)が送られてきました。通知書には、刑事告訴を示唆する文言も含まれていました。


突然、内容証明郵便が届き、また、刑事告訴されるかもしれないと驚き、気が動転したAさんは、即座に当該ECサイトの出品を全て取下げた上で、当事務所に相談に来られました。

2 当事務所の対応

Aさんとの法律相談の際、まずは、B社からの通知書の内容やAさんの手持資料を確認しました。資料やAさんのお話から、民事訴訟になった場合、著作権侵害の有無や損害の内容など複数の論点で主張(反論)しうることを確認しつつ、通知書を確認すると損害額の根拠について明確な記載がありませんでした。


そのような中、すぐに依頼を受けて、当職がAさんの代理人としてB社との交渉窓口となりました。


その後、書面等で主に損害の内容・金額について根拠がないことなどを反論をしつつ交渉を続けた結果、請求額の30%以下の金額(減額)を支払うことで被害届の提出や刑事告訴をしないことを約束してもらう等の内容の示談が早期に実現できました。

3 解決

高額損害賠償請求や刑事告訴の可能性 → 示談書の作成(請求額の減額・刑事告訴をしないことを約束)


(無在庫)転売自体は、違法であるとまでは言えない取引手法(執筆現在。なお、取引態様によっては違法となる場合もあり得ます。)であると言えますが、手法の中に著作権侵害などの問題が含まれることも少なくなく、本事例のようなトラブルが生じ得ることは言うまでもありません。

この問題は、請求・警告等をする側も請求・警告等を受ける側も、著作権をはじめとした法的観点から相手方の言い分を検討することが不可欠である他、先々の見通し(優先すべき目的なども)について、あらかじめ検討しておくことが重要です。仮に著作権侵害があるとしても、損害がどこまで認められるかなど検討されるべき場合も少なくありません。


当事務所では、上記事例のような請求を受けた側だけでなく、請求する側の依頼にも対応しておりますので、ご相談希望の方は、お問合せフォームよりお問い合わせください。