とりで法律事務所(東京港区北青山)・ブログ

解決事例・HP制作の業務委託報酬の回収(アドバイスのみ)

2024年03月28日 23:08

1 ご相談の経緯

個人事業主としてHP制作などに携わっているAさんは、友人のBさんが関与しているC社からホームページ制作の依頼を受けて制作に着手し、7割程度作業が進捗していました。


そのような中、次第にBさんやC社の担当者から連絡が遅れがちになり、しまいには連絡が付かないような状況になってしまいました。

Aさんにとって、その理由や案件を進めてよいものかも分からず、制作案件がうやむやにされてしまいそうな状況でした。

また、AさんはC社宛の見積書をBさんに渡しているものの、もともと急ぎの案件だったこともあって、AさんとC社との間には正式な契約書を作成していませんでした。


Aさんとしては、ホームページ制作契約(請負契約)自体なかったことにされるのではないかと強い不安があったため、また、報酬の請求や宙に浮いた契約関係をどのようにすればよいか分からなかったため、当事務所に相談に来られました。

2 当事務所のアドバイスとその後の経過

まず、Aさんから見積書等の資料ややり取りの内容を確認した上で、契約書が存在しない場合であっても見積書や業務連絡のメール等のやり取りも内容によって契約成立の証拠になることに加え、Aさんから提供された見積書やメールの内容等からは、ホームページ制作に関する請負契約を正式に締結していることを前提にしていたことが伺われたため、請負契約の成立を主張できる旨アドバイスしました。


また、ホームページ制作のような請負契約の場合、完成の度合いに応じて一部報酬を受けられる可能性がある(民法634条)ことから、Aさんがこれまでの作業に関する部分の請負代金を請求した際に、請求が認められる可能性があること、そして、代金の保全のために、案件を進めるか解除するかいずれにせよ、Aさんが実際にホームページ制作業務を行って一部納品をしていることを説明して、既に完成した部分の報酬については早期に支払を求めるべきとのアドバイスをしました。


Aさんは、これまでBさんが友人だったということもあって請負代金のことを強く言い出せない面がありました、とのことでしたので、請負代金の支払いを受けるという点においては、(いろいろな支払いがある中で)BさんやC社における支払いなどの優先順位の認識を上げてもらう(後回しにされない)こと、そのためには、しっかりと説明し支払を求めることがとても重要であることもアドバイスしました。


Aさんは、上記の話を聞いて、まずは、自身でBさんに上記のような報酬を支払うべき法的根拠があることをしっかり伝えてみて話し合うようにしてみます、それでダメな場合は弁護士への依頼も含め法的措置も考えます、というところで相談は終了しました。


その後、Aさんからは、Aさん自身で上記の法的根拠をもとにBさんと協議し、その結果、これまでの出来高部分の報酬(請負代金の7割)を支払ってもらうことができ、また契約関係も円満に解消することができました、との報告を受けました。

3 解決

契約関係の整理+進捗に応じた請負代金(一部)の支払いを受けられた。


ホームページ制作に関する請負代金等のトラブルの場合、係争金額が少額にとどまり、弁護士に依頼すると費用対効果が悪い(または、弁護士の側でも引き受けることが難しい)事案もございます。

そのような場合であっても、例えば、上記のケースのように、弁護士に相談した上で自身で対応することで解決に向かうことも少なくありません。


Aさんとしても、法律相談を受けることによって、契約書のない場合の契約の成否の問題・請負代金の請求に関する法的な知識や、先々の見通しを得ることで、Bさんとの協議で説得力をもって話ができ、解決に向かうことができたようです。



当事務所では、上記のような各種業務委託にかかる報酬(請負代金等)のトラブルについて、ご相談やご依頼に対応しております。ご相談やご依頼を希望される方は、お問合せフォームよりお問合せください。