とりで法律事務所(東京港区北青山)・ブログ

法律顧問契約(顧問弁護士)について

2024年03月28日 23:10

1.弁護士の顧問契約って何?

顧問契約とは、弁護士に対して毎月一定の金額を顧問料として支払うことで、顧問料の範囲で主に各種法律相談や法律書面に関する確認・助言を受けることができる契約です。最近は、働き方が多様化したことに伴って、企業(会社)だけでなく、フリーランスエンジニアやインフルエンサーなど個人事業主の方も顧問弁護士を付けるケースも増えてきました。一方で、特に弁護士の顧問契約の場合、ハードルが高いと思われていることもあるでしょう。

2.顧問契約のサービス内容

そもそも、顧問弁護士は何をしてくれるのか、ということに興味がありつつも、費用面のこともあって、実際のところどうなのか?とお考えの企業・個人事業主の方も少なくありません。この場合には、顧問契約の相談については無料としている法律事務所もありますので、一度お話を聞いてみるのもよいと思います(弊事務所では顧問契約の相談は無料で承っております。)。また、法律相談(個別事案の依頼)や契約書のチェック・作成を単発で依頼してみて、よければ顧問契約を締結するケースもよくあります。

相談の流れとしては、通常の法律相談と同じく、相談のアポイントをして、顧問契約について説明を受けることになります。そして、弁護士から提示された顧問契約の内容に納得できれば、顧問契約を締結します。

3.弁護士との顧問契約のサービス内容

(1) 平時の対応(ご相談や社内整備のお手伝いなど)

ビジネスをする中で、「これは法律的に問題ないのか」「適法だとしても、どういったリスクがあるのか(ないのか)」など疑問が生じることがよくあります。そのような場合、顧問契約で決まった毎月の稼働時間の範囲内で、顧問弁護士に直接面談や電話・メール等などで質問できます。そして、専門家であり第三者としての視点で助言することになるので、物事を冷静に・合理的に検討することが期待できると考えられます。

また、顧問契約の内容によりますが、契約書などの書面のチェックについて、月数通程度を顧問料の範囲で対応しているところが通常です。(※契約書などの作成の場合は別途料金発生する場合があります。)

このように、平時の対応としては、社内の整備(上記のほか、契約書・就業規則等のひな形等の各種書面の整備や、労務面での整備も含む)に、日常から会社の状況を熟知している顧問弁護士が活用されます。また、顧問弁護士からのコメントを得ることで、社内外に説得力をもって、安心して業務を推進できるという面もあります。

(2) トラブルへの対応

顧問弁護士は、例えば労使トラブルや債権回収、悪質なクレーマー対応など、社内外の紛争に対応します(法的措置を含む場合などは、別途個別契約を締結して依頼することもあります)。紛争が顕在化しまたはその前の段階において、顧問弁護士は顧問先の事情をあらかじめ知っているので、単発の相談・依頼をする場合よりも迅速に対応することができます。

また、個別の事件・案件について顧問料とは別途費用が発生する場合にも、弁護士費用の割引(およそ10~30%程度)を適用する法律事務所が少なくありません。

これらのことを指して「弁護士との顧問契約は保険のようなもの」と言われることもあります。


3.メリット・デメリット

まず、顧問弁護士のメリットとしては次のことが挙げられます。


(1)顧問先の場合、一見の顧客とは異なって、必要に応じて会社の顧問税理士・社労士と協議したり、自社事業のことを深く調べたり、法律相談のみならずささいなことも含めて交流をしたりします。その結果、お互いをよく知り合った上で対応できるので、相談での回答や契約書等検討がスムーズになり、提供するサービスの質が単発の相談・依頼よりも向上します。


(2)顧問先でない顧客の場合、相談の都度、相談料を支払った上で相談を受けることになりかえって割高になるケースがあります。また、法律事務所が業務繁忙の場合、相談日程の優先順位が下がること(相談まで日時がかかってしまう)、場合によっては相談・依頼をお断りすることがあります。

一方、顧問先であれば、裁判期日など必要な事柄を除いて、優先的に対応することになります。また、利益相反などの特別な事情がなければ顧問先からの相談や事件対応を断ることも滅多にないといえるでしょう。何より「こんなことまで質問してもいいだろうか」ということであっても安心して質問しやすい点は大きいと思われます。(雑談など一見意味のなさそうな話でも意外と重要だったりすることもあります)

最近では、電話・メールだけでなく、オンラインでの相談やchatwork・slackなどのチャットツールでの回答も積極的に行われるケースが増え、利便性がより向上しています(弊事務所でも顧問先企業様のご希望に応じて柔軟に対応しております。)。このように近年はオンラインでの対応を積極的にすることで日本全国(遠方地)の企業であっても問題なく対応可能です。


(3)相談者・依頼者とお話させていただいていると、「弁護士の顧問料は概して高い」「弁護士はもしものときに依頼すればよい」というお声をいただきます。その理由として、弁護士は、バックオフィス部門のアウトソーシングとしての位置付けで、売り上げに直接貢献していないことなどが挙げられるでしょう。

確かに上記の点は否定できない部分はありますが、「顧問弁護士〇〇」などと御社HPなどで表示し、法律面にしっかり対応していることが取引先など外部・内部に伝わることで、会社の信頼向上につながるという面があります。また、契約締結までの場面で、相手方から不当な契約条件が提示された際にも、顧問弁護士が迅速にチェック・アドバイスし、場合によっては直接対応することで、本来得られるべき売上や御社の商品・サービスの価値を守る場面も想定されます。


次に顧問契約のデメリットとしては、相談がない月であっても、顧問料の支払いがあることです。顧問料の相場としては、事業規模や想定の利用頻度などによりますが、基本料金を毎月3~5万円とするところが一般的と言えそうです。最近は稼働時間と対応する内容をHP等で事前に明確にする法律事務所も増えてきました。

このように顧問料がかかるというデメリットはありますが、弁護士は顧問料を頂くことで、迅速・適切に相談にお応えできるよう時間的・業務的な余裕をもって取り組むことができ、また、相談がない時には、顧問先に対して、より質の良いサービスを提供できるよう研鑽できるので、顧問料はサービス向上に必要なコストと見ることもできます。

自分で分厚い法律関連の書籍等を購入して調べる手間・時間と顧問契約を締結した場合の費用(顧問料)といった、法務にかけるコストを比較すると、弁護士の顧問契約はリーガル面のアウトソーシングとして十分に活用する価値があると言えます。



弊事務所では、積極的に顧問業務に注力しております。顧問契約のご用命・お問い合わせは、弊所HPお問合せフォームよりご連絡下さい。