解決事例・親族間の取締役交代や株式譲渡による引継ぎ問題(民事調停による解決)
2026年03月22日 08:24
1 ご依頼の経緯
Aさんは、親族のBさんに、高齢のため、Bさんが経営するC社の後継ぎを頼まれました。Bさんから打診を受けて、Aさんは、後継者としてBさんに代わり、C社の取締役(C社は、取締役会非設置会社であり、取締役は1人)に就任し、C社の株式の一部(数%分)を取得しました。
しかし、AさんがC社の取締役に就任直後、将来の方針を巡ってBさんと喧嘩してしまい、Aさんは、就任前と態度が一変したBさんからC社の運営の引継ぎを一切受けることができず、C社から締め出される形(C社の実質的な経営は前取締役のBさんが実質的に継続)となりました。
そして、ほどなくして、Aさんのもとに、Bさんから、C社取締役の退任と一度譲渡したC社株式の返還を求めた内容証明郵便が届きました。
困ったAさんが当事務所に相談に来られました。
2 当事務所の対応
Aさんから事情をヒアリングして受任し、Bさんが依然C社の株式の大部分(80%以上)を保有していることから、AさんがC社の取締役としての地位を存続させることは難しい(※取締役を含む役員は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができ、過半数の株式を保有している株主はいつでも取締役を解任できることになる。会社法339条1項、341条)と考えられたため、前職を辞して取締役に就任したこと・取締役就任直後の退任によって受けたAさんの経済的損失に対する一定の金銭の補填と、Aさんが保有するC社株式の買取りを前提に、まずは、任意の交渉を試みました。
その後、任意交渉が難航し、Bさんからの連絡が途絶えるなど任意による交渉が頓挫したため、(親族間の紛争であること、株式の買い取りも争点となっていたことを考慮して)民事調停を申し立てました。
民事調停では、裁判所を交えて条件を双方検討・協議(調停期日4~5回)し、その結果として、BさんないしC社が一定の金銭をAさんに支払うことを条件に、AさんがC社取締役の退任をし、Aさん保有のC社株式をBさんに譲渡(返還)する内容の調停が成立するに至りました。
3 解決
取締役として締め出されている状況(十分な役員報酬も得られていない) → 金銭による一定の補償
上記のように、Aさんとしては、決意をもって前職を辞めてまで後継ぎになろうとしたにもかかわらず、信じていたBさんにいわば急に梯子を外される形となってしまいました。
この点に関し、事前に株式や取締役といった法律上(会社法など)の知識があれば、未然に一定の対策を講じることができた可能性(または、リスクがあることを事前に認識できていた可能性)がありました。
今回、民事調停という手続きが用いられましたが、当事者間での協議が難航した場合に、当事者同士の協議を基調としつつ、裁判所の手続きの中での解決を図る点で、民事調停が有効な手段になるケースもございます。
当事務所へのご相談・依頼を希望される方はお問い合わせフォームよりお問い合わせください。